静岡県には高度教育機関が足りない
先ごろの新聞報道によれば、静岡大学と県立大学は、県内の国公私立大が共同で新しい大学院を設置する「静岡連合大学院(仮称)」構想を発表した。従来の大学院が重視してきた研究者養成だけでなく、地域社会のニーズに応える実務家の育成に力を入れるとのこと。早ければ来年4月の開設を目指す。一方、法政大学大学院は、同じく来年4月に静岡市に「静岡サテライトキャンパス」を開設することが、既に決定している。一年制を主体としたビジネススクールで、経営に携わる人材や組織内で変革を起こしていく人材を育てるとのこと。
それでは、静岡県では、高度教育機関の新設が本当に求められているのであろうか。
静岡県の社会力及び産業力は、日本全体の約3%で、全国10位である。特に製造業は、地域経済総覧によれば、2005年の従業者数が44万人強、同年の出荷額等が17兆円強で、ともに全国3位に位置する。
このような雄県である静岡県は、それにふさわしい質、量の高度教育機関を擁しているのであろうか?
学校基本調査によれば、都道府県別大学院学生数は、静岡県は多い方から17番目に位置する。社会力、産業力が10位なのに、大学院生数は17位ということに、筆者は不満を覚える。
政令指定都市の行政人口1万人当たりの大学院生数で見ると、静岡市は22人であるのに対し、比較的人口の近い仙台市は77人と、静岡市の3倍以上である。一方、大学に目をやると、各県の大学進学者数(需要)に占める各県所在大学のキャパシティ(供給)は、静岡県は何と44.2%で、全国42位であった。静岡県の高校生は、大学に入学しようにも、半数以下しか地元で進学できず、他県に行かざるを得ないのである。先ほど比較した仙台市のある宮城県は、何と115.5%で、全国6位である。
このように、静岡県内の大学と大学院の数は、その社会力、産業力に見合った数とはとても言えない。
従来は、モノや技術ばかりが重視されていたが、国際化の波が押し寄せ、高度知識社会に移りつつある。大学院等で身に付けられる高度な知識・知恵が、企業のグローバルな競争を生き抜くために必要な時代になってきているのである。高度な教育機関をどれだけ擁するかで、将来の発展の度合いが決まってくると言えるのではないか。
以上から、静岡県は、大学やビジネス系の大学院が極度に不足している状況であると思われる。冒頭に述べた「静岡連合大学院(仮称)」や法政大学大学院「静岡サテライトキャンパス」新設の動きは、この異常な状態を改善してくれるものであり、大いに歓迎したい。
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